免疫関連有害事象 irAE
免疫チェックポイント阻害薬は各種悪性腫瘍に対する免疫療法として頻用されている
副作用として免疫関連有害事象(irAE)を発症することがある.
①間質性肺炎,②1型糖尿病,③内分泌系(下垂体/甲状腺/副腎皮質機能低下症)
そのうち内分泌機能障害は比較的頻度が高く,また下垂体前葉,甲状腺,膵β細胞など複数の臓器が標的となるため,各々が産生するホルモンの分泌障害が生じうる.内分泌代謝領域では下垂体機能低下症,甲状腺機能異常症,副甲状腺機能低下症,副腎皮質機能低下症,1型糖尿病が知られている.1型糖尿病の中でも,劇症1型糖尿病は適切な処置が行われないと致死的な疾患
使用中に,急性副腎不全症を発症することがある.下垂体炎やACTH単独欠損症による続発性副腎不全が多いが,副腎皮質自体の障害により生じた例も報告されている.今後,症例の蓄積とともに発症頻度やメカニズムが明らかにされていくものと思われる.
【検査】
糖尿病の存在は血糖値の測定
尿ケトン
甲状腺機能障害は甲状腺機能検査(FT3,FT4,TSH測定)
低栄養に伴うlow T3 症候群が鑑別
下垂体前葉機能障害のうち下垂体性副腎皮質機能低下症では血中ACTH,コルチゾールの測定が行われる.
【治療】
●irAEとして下垂体性副腎皮質機能低下症を発症した際は,重症時や発熱合併時などに副腎クリーゼを発症することがあるため,速やかに副腎皮質ステロイド投与を行う必要がある.